ごあいさつ
制振工学研究会 会長 岡村 宏
制振工学会も満20周年目を迎え、また新たな活動をめざしてゆきたいと考えます。
皆様のご支援、ご協力を御願いいたします。この一、二年の活動は、本研究会
が果たすべき役割を見直し、将来への展開を切り開く大切な時期にあります。
幸い、この一年間の活動は、会員の皆様や関連分野の方々のご協力を得て、
いくつかの成果を上げることができました。
(1)制振工学ハンドブック
長年に渡る制振工学ハンドブックの編纂事業が完成に近づき、本年春には発刊の予定とな
りました。このハンドブックは、単なる制振技術に関するものの記述にとどまらず、広く
振動、書響に関する工学全体で行なわれる種々のアプローチ法の中で制振工学がどのよう
な位置づけで扱われるかを考える立場を基盤に編集されています。以前とは異なり、最近
では、制振に関する技術は、独立して利用される場合だけでなく、動的な挙動に対する総
合的な取り組みの中で、効果的な手法となりうるかが問われるようになって居ます。この
ような観点から利用出来るハンドブックを目指しています。
(2)二層型の制振積層の制振特性に関するJI S化
本件は、当研究会の長年にわたるワーキンググループ活動の成果に基づくものであり、J
I S原案作成委員会の委員に多くの当研究会のメンバーが参加しています。委員会による
JI S原案が提案され、現在審議中で、まもなく制定される予定です。ここでは、制振積
層の制振特性の測定法に加え、そこに使用されている制振材自身のノモグラムも求めるこ
とを提案しています。制振材のノモグラムが分かっておれば、適用事例での制振材の使用
条件である温度や周波数の依存性を考慮した特性が求めることが可能となり、制振材を用
いた事例でのシミュレーション予測の精度を向上させることが可能となります。
(3)20周年技術交流会
毎年12月に開催している技術交流会の規模を今回は倍増して行なわれました。この交流
会は、研究会での活動報告と共に、広く制振技術に関する技術交流を目指して、一般に公
開しています。個々の学会の領域を越えて、制振工学に関する交流を目指しており、多く
の方々の情報交換の場となれば幸いと考えています。
本年度の活動としては、制振工学に関するセミナ等の教育事業や「JIS試験法及び粘弾性
測定装置測定法による粘弾性特性の比較検討」・「振動衝撃吸収研究」等のワーキンググループ
の立ち上げなど新しい活動にも積極的に取り組んでゆきます。特に、前者は、発刊するハ
ンドブックで得られた成果を用いて、制振工学を中心とする書響や振動に関する教育事業
を目指しており、多くの事例をベースとしてシミュレーション、計測法を組合せ、幅の広
い応用力を付けることを目指す予定です。
この研究会の活力の基は、会員の制振工学への情熱とボランタリー精神と実行力です。以
前からの課題である世代交代などの問題がある中、より活発な活動を目指して本年もがん
ばって行きたいと考えます。最後に、皆様のご健康とご活躍を御願いすると共に、研究会
の活性化に関与していただけるよう御願い申し上げます。
(2008年1月記)
